村上氏は旧通商産業省(現経済産業省)の官僚として、石油政策に関わった経歴を持つ。18年の出光興産と昭和シェル石油の経営統合では、統合に反対した出光創業家と経営陣の間を取り持つなど再編を後押ししてきた。石油産業には2つほどの企業グループで、適正な競争で安定供給と価格設定できることが望ましい、というのが持論だ。コスモHDと富士石油の筆頭株主となることで、持論の実現につなげたい思惑があるとみられる。

石油業界は業界再編を繰り返してきた。80年代に約15あった元売りは3社に集約された。石油連盟によると、21年3月末時点の日本の原油処理能力は日量345万7800バレル。過去20年で34%減った。ENEOSHDは1月に和歌山製油所(和歌山県有田市)の閉鎖を発表。ガソリン需要が減る中、さらなる能力削減は避けられない。再編が起きれば製油所を統合しやすくなる半面、価格競争が起きにくくなる懸念も増す。

村上氏はこれまでにも半導体商社やゼネコンなどでも再編をしかけてきた実績がある。富士石油の山本重人社長は村上氏からの働きかけについて「コメントを差し控える」とする。石油元売り幹部は「化石燃料関連の買収では社外取締役の理解を得られない」と再編論に距離を置く。

市場縮小の波にあらがえないとみて、各社は化石燃料から再生可能エネルギーや水素、燃料アンモニアなど次世代エネルギーへの転換を急ぐ。今回の大量保有が石油業界の再編、成長の引き金になるか。ロシアによるウクライナ侵攻で原油価格が大きく変動していることもあり、注目を集めそうだ。

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