でもね……と門田さんが言葉を継いだ。

「話し合いにはならんかった。僕がつい言うてしまったんです。少し反発するように『2人で口裏合わせて言うとるんやないですか?』って。
そしたら王さんは『ノムさん、えらいルーキーが入ってきましたな』と言うてるし、ノムさんは『もうお前には野球教えたらん』と大層怒らせてしまった。
2人が寂しい背中で部屋から出ていくのを見てハッと我に返った。

自分はまだ22歳の新人で、もちろんホームランも0本。そんな男が日本のホームランの1位と2位の人たちを相手に、なんてことを言ってしもうたんや……と。
だから、その時に決めたんや。野球を辞めるまでに絶対に、この2人の間に入るか、3番目に名を連ねるまでホームランを打つんやと。
あの2人の背中を『寂しい背中』と思わなかったら、たぶん200か300本塁打の選手で終わっとったでしょう。それが23年間の源や。
他の人には分からへんでしょう、こんな気持ち。どれほど、心が痛んだか……」